■下落しているため予断は許さない

ラックマンデーの FX際には35%ぐらい下落しているため予断は許さないものの、半ば期待を込め敢えて「夏の株高」サマーラリーへの注意を喚起しておきたい。(鹿の角) そして誰も買わなくなった 根が深いサブプライム  サブプライム問題は終わっていない…ということが明らかになったのが、米連邦住宅抵当金庫(ファニーメイ)、米連邦住宅貸付抵当公社(フレディマック)問題だ。この両社、政府系の住宅金融公庫的存在だが、サブプライム問題でリスクがFX顕在化、3四半期連続の赤字となっている。 この問題の両社を米NYタイムズ紙が「政府が管理下に置く計画がある」とFX報道、市場参加者は「場合によっては一般の商業銀行へも公的資金注入か」と連想し、一時外国為替大幅な株高/債券安となった。公的資金投入はいっさいしないと思われたブッシュ政権がついに「公的資金注入に踏み切った」と思われたからだ。市場参加者は実行されればマーケットのセンチメントを明るくさせ、かなりのインパクトがある…と見込んだ。  ところが海外市場で、「(報道は)きょう明日にも公表される話なのかどうかも含めて観測の域を出ない」「(政府系の二社はともかく一般の商業銀行への公的資金注入へと進むのは、政治的に難しい)との認識や政府高官の打ち消しにより、失望感が広がってしまった」。米株式市場では、ファニーメイ、フレディマックの政府系金融機関の株価が下げ止まらず、市場の不安心理が払しょくされていないことを示した。今週はそうでなくとも問題の大手金融機関の決算が出る。17日のメリルリンチ、18日のシティグループなど悪名高い銘柄が並ぶ。とても株を買う気分になれないというわけだ。 最近盛んにバーナンキ議長やポールソン米財務長官が投資銀行破たんに備えたシステム作りの必要性に言及しているが、これは事実上、米系の投資銀行のいくつかが、おそらく非常に近い将来、破綻すると予めマーケットにメッセージを出している可能性もある。このような形での「警告」は米国特有のものではあるが「警戒するに越したことはない」となるのもやむを得ない。  米国では金融機関の貸出態度が大幅にタイト化し、社債市場でもスプレッドが再拡大。そうした中、原油市場も大幅に乱高下。グローバルインフレと信用収縮景気悪化同時進行という不思議な世界。だれも相場観に自身が無く、中央銀行も政府も自信が無い。相場参加者は不安の中、日替わりニュースに右往左往する。サブプライムが引き起こした不安心理は根強い。(石上) 米金融機関の決算を前にイランミサイル問題は  欧米金融機関への評価は未だ厳しい。一部アナリストは、スイスUBSが「69億ドルの追加評価損計上と一段の資本増強をする可能性」を指摘、また米メリルリンチは格下げされる可能性もあるなど、「資本不足が完全に解消されたかどうか、全てが手当て済みとは言えない」(金融庁佐藤長官・6月発言)ようだ。  米系銀行だけで、総額650億ドルの資本増強が必要?としたゴールドマン・サックスの試算を上回る可能性もこの先否定はできない。そのようななか、今週から本格化する米・大手金融機関の四半期決算発表に、市場の関心は集中しよう。その内容次第では、一連の問題がさらに長期化する、といったネガティブな反応を惹き起こすかもしれず、要注意だ。  一方、金融不安解消へ向け、米連邦預金保険公社(FDIC)を破綻金融機関の受け皿とする案が示唆されるなど、公的な関与への枠組み作りが現実味を帯びてくるのかにも注目したい。「大き過ぎて潰せなかった」金融機関を、破たん処理するスキームが成立したなら、市場はどう反応するだろうか。「事態は極めて深刻だ」とするのか、「抜本的解消への一歩」と評価するのか、興味深いところだ。   5月、15%前後だったシカゴ・オプション取引所(CBOE)のVIX指数は直近、3月末水準の20%台後半へ上昇するなど、リスク回避の姿勢が目立つ。加えて、イランのミサイル問題はじめ、地政学的リスクも意識されるなど、米国経済を信任しきれない市場が、ドルの上値を積極的に追うとも思えない。ややドルベアといったところか。(和千) ユーロとドルの逆アナロジー 夏場の為替混乱は微妙  2000年のユーロと、今年のドルを取り巻く環境には類似点が少なくない。1つはスタグフレーションが懸念されていたということ。その中で原油高問題が深刻になっていたということ。止まらない通貨安を通貨当局が懸念していたということ。米大統領選挙を控えた中での出来事だったということ。  もちろん違いもある。2000年当時は、ITバブル破裂前後の局面だったため、FRBは前年の99年6月から利上げ局面にあり、その中でECBも99年11月から利上げを始めていた。  ECBは利上げしていたにもかかわらず、ユーロの下落は止まらず、その止まらないユーロ安がユーロ圏のインフレ懸念をさらに助長し、ECBは一方で景気も低迷が続く中で追加利上げの必要性に迫られた。  景気に不安が残る中で、追加利上げにも慎重なECBとしては、少なくともユーロ下落は止まってほしかったのだろう。同年5月にECBはユーロ安懸念の緊急声明を発表した。こういった動きは、米経済のスタグフレーション懸念が広がる中で、せめてドル安は止めるべく、6月に入ってからドル安けん制、ドル高誘導の「口先介入」を、米金融・通貨当局が強めてきた動きに重なるものだろう。  ただし、2000年のユーロ安けん制「口先介入」の中でユーロ反発となったのは約一カ月程度に過ぎなかった。その後は、米大統領選挙が近づく中で、ユーロは安値を更新、ユーロ安・ドル高は再加速に向かっていったのである。  このように大統領選挙が近づく中で、ユーロ安再燃となったのは、スタグフレーション懸念でECBの動きが制約されること、それにくわえて大統領選挙が近い中で米国が参加した形の協調介入は無理と見られたことが一つあった。  ところが、同年9月G7直前に、協調ユーロ買い介入が実現。それを受けて1カ月もするとついにユーロは大底入れとなった。  さて、このように今年のドルの取り巻く環境に似ている点のある2000年ユーロに関する動きを参考にすると、6月からのドル安けん制「口先介入」の効果もそろそろ切れる懸念がある。  さすがに大統領選挙を控えた中で、夏場の為替混乱は微妙だが、その後は要注意だろう。=蒼い稲妻= 苦戦強いられるHF 受難の時代まだ続く  「川上」の欧米金融機関に対する信用リスクが再燃していることもあり、「川下」に位置する欧米ヘッジファンド業界も苦戦を強いられている。  先日ダウジョーンズ社は、英系のヘッジファンド『エルジン・キャピタル』が旗艦ファンドの清算を決定、投資家に資金を償還する―などと報じているが、そうした動きは決して珍しくない。  金融機関からの融資が絞られた結果、今後資金繰りなどの面で苦境に立たされるファンドが相次ぐ可能性も否定出来ないだろう。  周知のように、サブプライムローン問題の余波などもあり、株式や為替といった金融市場における資金運用そのものが上手くいっていなかったが、「それも1〜3月のこと。4月以降は徐々に持ち直していた」(在米ヘッジファンド関係者)という。確かに、大手調査会社であるヘッジファンド・リサーチ発表のデータを見ると、ヘッジファンドに関する多くのベンチマークが4月以降プラスへと転じていることが見て取れる。もっとも苦戦していたクオンツ系や日本株投資型なども、リターンが回復傾向にあったようだ。  したがって、「やっと成績が持ち直してきたところ。もう少し猶予が与えられれば経営が立て直せた」(前述ファンド関係者)とも言えるが、貸し手サイドの金融機関は逆にそこまでの余裕がなかったということになるのだろう。  いずれにしても、パートナーあるいは投資家からの解約に加え、金融機関による「貸し剥がし」という予想外のパンチを受けて、一部ヘッジファンドが危機的な状況に追い込まれはじめている、との声も聞かれていた。まだ表面化している先はそれほどないが、今後の動向が注目されるところだ。  一方、そうしたマーケット環境を受けて、新規のヘッジファンドを立ち上げる動きも手控えられている。ちなみに、前述したヘッジファンド・リサーチによると、07年に新設されたファンドはわずか1150本ほどで、05年のピーク時からほぼ半減しているとされるが、今年は昨年よりもさらに減少するとの見方が有力だ。そして、倒産あるいは閉鎖するファンド数は右肩上がりとなっている。  個別はともかく大勢でいえば、ヘッジファンド受難の時代はまだしばらく続く可能性がある。 (鹿の角) フリーハンド失うFRB インフレ・ドル安・景気後退  米国の非農業部門雇用者数は、5月のマイナス62000人に対して6月は全く同じ62000人だった。減少幅拡大に歯止めが掛かった、という見方もあるがマイナスではとてもいい状態ではない。  セクター別で見ても、金融を始め建設業、製造業、サービス業とも減少が続いている。失業率も5、6月ともに5.5%と横ばい。悪化を物語るのは就業者数が依然15.5万人減、労働参加率も66.2%から66.1%に0.1ポイント低下した。これは職を失った就業者の多くが労働市場から退出したことを示す。失業者そのものの数は前月差+1.2万人の増加に留まっているが、実質的には14万人もの人間が勤労をあきらめた、ということ。つまり、実態は数字よりももっと悪い。数字には表れていなくても実施的な失業率は上昇しており、6月の失業率が横ばいだったのは単に5月が0.5%以上急上昇したため、目立たなかっただけといえる。また、時間あたりの賃金は前月比0.3%を保っているが、全般的な物価上昇やガソリンの高騰を考えると、実質的に賃金は減少している。また年度比較すると、前年比4%台を維持していた07年の状態と様変わりし、前年比3.4〜3.5%台にとどまっている。労働コストは実質的に抑制されているから、企業は雇用を抑制しているだけではなく、実質的に賃金も抑えている。  目先、所得税減税の景気押し上げ効果が見込まれるとされているが、このような雇用調整と失業率の実態の悪さを考えると、景気が本格的に回復しない限り、米国の失業率の上昇は当分続くと判断せざるを得ない。  こうした弱い米国景気の悪化と原油価格や商品価格の上昇を受けたインフレ・リスクの拡大が双方ながら成立してしまっているので、FRBも頭が痛い。国際的な中央銀行の政策は引き締めに流れており、実際欧州は利上げに踏み切った。米国の企業収益の減少、雇用悪化と資源価格の上昇は、過去は絶対に維持できるものではなかった。なぜなら